私の会社はいわゆるソフトウェアの開発を生業としているのですが、見積りは「人月」で出すことになります。

つまり、この仕事は3人で3カ月かかるので9人月ですよ、と。1人月100万なので900万円になりますよ、と。

ソフトウェアの開発規模とソフトウェアの価値がマッチしていない場合もあって、まぁソフトウェアの価値というのは測れるものではないので要するにお客様がソフトウェアを使うことで価値を産んだり、コストを削減したりしたときに出てくる金額になるのですが、それよりも見積りが高い場合は重要じゃない機能を削ったり価格交渉だったりをしてお客様にとって妥当な価格になるように調整することになります。


で、1人月の金額ってだいたいどの会社も標準の価格が決まっていて、大手SIerだと180万とか高いと200万とか、コンサルだと標準価格が400万とか行くところもある。

私の会社みたいな中小企業だと1次で請け負う場合でも100万で2次請負3次請負となるにしたがって80万、70万みたいに下がっていきます。

全部1次請負にすればいいじゃん、と思うかもひれませんが、ユーザー企業は常にソフトウェア開発をくれる訳ではなく、必要な時しか仕事はくれません。当然ながら。

そうなるとエンジニアのアイドルタイムが出てしまうので、他のお客さんを探さないといけないのですが、コネもブランドもない中小企業だと非常に厳しいのです。

なので大手SIerの下で定期的に仕事をもらえる立場の方がたとえ単金が低くてもメリットは大きいのです。



ユーザー企業から見ると、金額的には中小企業の方が間違いなく安いです。1人月の価格が倍近く違う場合がありますし、(1人月の作業量がどうか、という議論はあるにせよ)まず安くなります。しかしながら多くの開発経験があり、各分野のエキスパートがいて全部を任せて安心できるのはやはり大手SIerですし、何かあったときの責任も任せることができます。

そもそも大規模な開発になると大手SIerも中小企業も他の会社に再委託するか派遣してもらうかしないと人員的に対応できません。

そういった場合の開発要員の調達力も大手SIerの方が上です。ここは圧倒的だったりします。

ピラミッドの頂点にいる人にとっては調達場所はピラミッド全体になりますが、ピラミッドの中腹にいる人にとってはピラミッドの下層部しか調達場所がないのです。

こういうことを考えていると中小企業の管理職としては少し暗い気持ちになるのですが、戦略としてはユーザー企業と蜜月の仲(と書くと語弊があるが、要するにお客さんの業務を理解してシステムを把握する)になって1000万くらいの仕事をたくさんもらう、という戦略がいいのかなーとも思う今日この頃。